悪女は果てない愛に抱かれる
ノーセットの髪が揺れるたび、顔の綺麗なパーツが見え隠れする。
これだけ整った造形をしているのに、クラスではわたしと1位2位を争う空気の薄さを演出していると考えると、本当にすごい。
目立ちたくないって言ってたけど、なんか理由があるのかな……。
「てゆーか、今井ってクラスでのイメージと全然違うな。大人しい子かと思ってたけど、昨日僕たちと喋ってるとき、結構荒ぶってたし」
語尾に“(笑)”をつけたような口調でそんなことを言われ、首から上が、かあっと熱をもつ。
挙動がおかしい自覚はあったけど、荒ぶってたなんて、そんな……!
やっぱり怪しまれてたのかな……っ。
「た、橘通連合のメンバーの方々に囲まれたら誰だってああなっちゃうよ。しかも昨日は、何も知らずルリちゃんに着いていったらまさかの……という感じだったので」
「にしても嵐のような荒ぶりようだったけど」
「っ、んえええっ! そんなに!?」
「くっ、はは、ごめんて。今井がどんな反応するかなって、興味本位でつい」