悪女は果てない愛に抱かれる
肩を揺らしながら笑う遥世くんに、ますます顔が熱くなる。
興味本位でつい……ということは、わたしをからかうために大げさに言っただけなんだ。
よかった……。のか、な?
佐藤遥世くんて、危険だ。
今の地味スタイルはまさに“佐藤くん”という感じだけど、喋れば、しっかり“遥世くん”だ。
「けどイメージと違ったってのはホント。学校でももっと自分出せばいーのに。大人しく振る舞ってる理由でもあんの?」
──しかも、鋭いときた。
「振る舞ってなんかないよ、わたしはいつだって素の根暗女なので……。ていうか、佐藤くんのギャップのほうがびっくりだよ」
「僕は橘通連合の幹部だって周りにバレたくないからこうしてるだけ」
「そうなの……?」
「今井にならいいけどね。……って、うわ。言ったそばから……まじかよ。あとはよろしく」
突然そう言って、そそくさと去っていくものだから、はて?と首を傾げた。
……その直後。