悪女は果てない愛に抱かれる

『ともかく。気をつけろよ、おれに双子の妹がいるらしいって情報は昔から有名だ』

「もう、しつこいよーー。本当に大丈夫だって。わたしと安哉くん、顔似てないし、そもそも苗字だって違うじゃん」



そこまで言ってから強引に通話を切った。


二卵性双生児のわたしたちは、顔どころか性格や好みにもだいぶズレがある。


もはや存在自体が派手な安哉くんと、その辺の雑草よりも地味に生きているわたしが兄妹だと疑う人なんているわけがない。


極めつけ、苗字が違う。

“桜安哉” と “今井あゆあ”。


生まれてすぐ両親が離婚し、安哉くんはお父さんに、わたしはお母さんに引き取られた。

けれどその1年後、お母さんに新しい恋人ができて。

邪魔者になったわたしは、手続きが面倒だからと戸籍はそのまま、お父さんの元に送り返され……現在に至る。
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