悪女は果てない愛に抱かれる
深い海のように底の見えない闇。
太陽を映す水面のように鋭い光。
彼と目が合うのは、これで三度目。
昨日の二度目を経験したとき、もう先がない、と思った。
どういうことか説明しろと言われても、自分でも上手く表現できない。
──『オワリ』。
シンプルなその言葉が、一番しっくりくるように思う。
「“もうここには来るな”。昨日、そう言わなかったか」
ああ……しまった、終わった。
『終わり』の予感があったのに、わたしは自らここへ来た。
いくら強引に誘われたとて
なりふり構わず叫ぶなり暴れるなりして拒否すれば回避できたことなのに。
「お前、ずいぶんと肝が据わってるな。───それともただの命知らずか?」
飛んで火に入る夏の虫。
──────愚か者。