悪女は果てない愛に抱かれる

箱裏の消費期限は今日。

ルリちゃんの口ぶりも『あゆ先輩が全部食べちゃって!』という感じだった。


昨日、今日と、スイーツを食べるためだけにここに来ている感じが否めない。

なんか逆に申し訳ないな……と思いながら手を合わせる。



「……いただきます」


口に入れた瞬間、カスタードがふわっととろけた。
甘いけど甘すぎないやみつきの美味しさに感激してしまう。


こんなに美味いシュークリームのお店が橘通りの繁華街にあったなんて……。

ほっぺたが落ちるって、こういうことを言うんだなあと、生まれて初めてわかった気がした。


大きさを売りにしているシュークリームなんて味は二の次でしょ、という勝手な偏見が覆され。

三分足らずでひとつ目を食べ終えたわたしは、甘さの余韻にほうっと浸る。


ひとつで結構お腹にたまってしまった。

極上に美味しいので、あとひとつ食べようと思えば食べられると思うけど……。
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