悪女は果てない愛に抱かれる
観月くんが画面を見たのを確認してから『拒否』ボタンをタップした。
指先が震えていることに気付かれませように、と祈りながら。
「切らなくてもいいだろ」
「い、いや……いつも大した用じゃないので……あ〜、でも、わたしもそろそろ帰──ひゃっ!?」
上体を起こした瞬間、ぐいっと腕を引かれ。
すると今度は、わたしが観月くんに覆いかぶさるような体勢になった。
「な、っ……ごめんなさいっ、いや……えっ?」
視界がぐるぐる回る。
冷静でいたつもりだけど、全くもってだめだめ。
見つめられながら距離が近づくと、キャパがとうとう限界を迎えて。
「も、もう無理だよ、わたし……初めて、で……っ、これ以上、わかんないの……っ」
目の前の胸板を、無鉄砲にどん!と押した。
直後、やってしまったと我にかえる。