悪女は果てない愛に抱かれる
だから、早く謝んなきゃ……。
そう思って、口を開きかけたとき。
「あー、もういい。勝手にしろ」
ひどく冷めた声とともに、その手から解放された。
明らかな拒絶。
「あ……安哉くん」
伸ばした手は、冷たく振り払われた。
今までも喧嘩をすることはたくさんあった。
でも、わたしが安哉くんに背を向けることはあっても、
安哉くんがわたしを拒絶するのは初めてで。
しばらく経って、自分が取り返しのつかないことをしたとようやく気づいた。