悪女は果てない愛に抱かれる
──ああ、こういうとき。
少女漫画や恋愛ドラマなら、きっと、かっこいい男の子が間一髪のところで助けに来てくれるんだ。
怖かったな、もう大丈夫だとか言って、背中をやさしく撫でてくれるんだ。
お前のことは、俺がずっと守るからって……。
もし、舞台がこの現実と同じ設定だったら、そうだな……。
例えば、ちょうどさっき安哉くんとの話題にあがっていた 橘 観月くんが現れる……とか、どうだろう。
敵対関係って現実だとかなり厳しいけど、それこそ血を血で洗う抗争がふたたび勃発するほど厳しいけど、
フィクションなら……全然萌えるし。
……なんて想像する自分に笑ってしまう。
現実は現実、フィクションはフィクション。
雑草より地味なわたしの人生に、フィクションのように派手なイベントは起こらない。