悪女は果てない愛に抱かれる

──ああ、こういうとき。


少女漫画や恋愛ドラマなら、きっと、かっこいい男の子が間一髪のところで助けに来てくれるんだ。

怖かったな、もう大丈夫だとか言って、背中をやさしく撫でてくれるんだ。

お前のことは、俺がずっと守るからって……。



もし、舞台がこの現実と同じ設定だったら、そうだな……。


例えば、ちょうどさっき安哉くんとの話題にあがっていた 橘 観月くんが現れる……とか、どうだろう。


敵対関係って現実だとかなり厳しいけど、それこそ血を血で洗う抗争がふたたび勃発するほど厳しいけど、

フィクションなら……全然萌えるし。



……なんて想像する自分に笑ってしまう。


現実は現実、フィクションはフィクション。

雑草より地味なわたしの人生に、フィクションのように派手なイベントは起こらない。

< 9 / 197 >

この作品をシェア

pagetop