悪女は果てない愛に抱かれる
結局、夜の9時を過ぎても連絡もナシ、玄関の開く気配もナシ。
どうやら今日は帰ってこないつもりらしい。
最低限、どこに行くとか、何時に帰ってくるとか伝えておいてよバカ……!
もとはと言えばひどいことを言ったわたしが悪い。
わたしが悪いのだけど、ここまであからさまに避けられると、こちらもつい意地になって、謝ろうと思っていた気持ちが徐々に薄れていってしまう。
仲直りは……早めが肝心。
わかっているのに、安哉くんの連絡先をなかなかタップすることができず。
その日は、なんのアクションも起こせないまま眠りについた。