悪女は果てない愛に抱かれる


──────日曜の朝。

相変わらず、安哉くんが帰ってくる気配はない。


昨日電話を掛け損ねたことで、今度は今さら感が出てしまいもだもだして。

悩みに悩んだ末、電話ではなくメッセージを送ってみることにした。



【 どこにいるの? 】


えい!と送信して、どきどきしながら待つこと……約九時間。


夜の七時になっても、既読すらつかない。


桜通連合の本部に電話をかけてみても、『安哉さんは来てない』との返事。


本部にもいないなんて、じゃあいったいどこに……?


いよいよ焦りが本格的になる。


今度はお父さんの連絡先をタップしてみた。

一分にも渡るコールのあと、『なんだよ』と不機嫌な声が聞こえ。



「あのね、安哉くんが昨日から帰ってこないんだけど、お父さん何か知らない? 既読もつかなくて……心配で」

「安哉が〜? 知ったことじゃねえよ。忙しーんだからんなことでいちいち掛けてくんな」



そう吐き捨てると、すぐに切られてしまった。

ワンテンポ遅れて、じわっと涙が滲む。


家族……なのに……。


そんなとき、外からが聞こえてきたのはサイレンの音。

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