悪女は果てない愛に抱かれる
きっと、大丈夫。
安哉くんじゃない。
安哉くんなわけない……。
落ち着いて。
お風呂に入って眠っていれば、そのうちひょっこり帰ってくるに違いない。
そんな考えとは裏腹に、体は玄関へ向かっていた。
スマホと財布だけを持って外へ出た。
……は、いいものの、どうしよう。
間交差点まで、歩いて行くには遠すぎる。
そうだ。
桜通りの繁華街にタクシー乗り場があったはず。
記憶をたどりながら繁華街までの道を走った。
「あのっ、間交差点までお願いします……っ」
「はい、間交差点ですねー。……あ、今そこでそこちょうど事故あってるみたいで、ちょっと入れるかわかんないですけどお……」
「行けるところまでで大丈夫です! ぎりぎり近い場所まで乗せていただければ……!」
「承知しました。それでは出しますね〜」