二週間の偽装彼氏~義兄の兄に溺愛されています~
偽装彼氏の提案
「……そうか。同期の子と……」
数十分後。
辿り着いた夜の海で、話を詳しく聞いた颯士は、ぽつりと呟いた。
自動販売機で買ったホットドリンクの缶を両手で握ったまま、美璃もこくりと頷く。
ここは海が見える高台。
柵が張ってあって、その向こうに広い海が臨める。
もちろんもう夜中といえる時間になりつつあるので、海の様子はほとんど見えなかった。
でも灯台の明かりや、時折海の上を移動する光……おそらく船……それらが見えるし、夜にしか見えない美しさが堪能できる。
デートで来たなら、きっとそれなりにロマンティックな場所だろう。
夏の終わりなので、まだ寒くはない。
夜の外でも、オフィスカジュアルのジャケットだけで、じゅうぶんだった。
それでもホットティーの缶はほかほかあたたかく、美璃の手をあたためてくれる。
「冬治はよく私の会社へ迎えに来てくれたりしてたから……きっとそのとき、下岡さんとも顔を合わせたんだと思います」
話す間、視線を柵に落として見つめながら、美璃はもうひとつ、説明した。
「なんて酷い……。確かにあの彼はモデルと聞いていたけど、だからって……」
美璃と同じ飲み物を手にした颯士は、かける言葉もない、という響きで呟く。
言葉を選んでいるようだったけれど、美璃にとっては、共感してくれるような言い方が、とても嬉しく感じられた。
数十分後。
辿り着いた夜の海で、話を詳しく聞いた颯士は、ぽつりと呟いた。
自動販売機で買ったホットドリンクの缶を両手で握ったまま、美璃もこくりと頷く。
ここは海が見える高台。
柵が張ってあって、その向こうに広い海が臨める。
もちろんもう夜中といえる時間になりつつあるので、海の様子はほとんど見えなかった。
でも灯台の明かりや、時折海の上を移動する光……おそらく船……それらが見えるし、夜にしか見えない美しさが堪能できる。
デートで来たなら、きっとそれなりにロマンティックな場所だろう。
夏の終わりなので、まだ寒くはない。
夜の外でも、オフィスカジュアルのジャケットだけで、じゅうぶんだった。
それでもホットティーの缶はほかほかあたたかく、美璃の手をあたためてくれる。
「冬治はよく私の会社へ迎えに来てくれたりしてたから……きっとそのとき、下岡さんとも顔を合わせたんだと思います」
話す間、視線を柵に落として見つめながら、美璃はもうひとつ、説明した。
「なんて酷い……。確かにあの彼はモデルと聞いていたけど、だからって……」
美璃と同じ飲み物を手にした颯士は、かける言葉もない、という響きで呟く。
言葉を選んでいるようだったけれど、美璃にとっては、共感してくれるような言い方が、とても嬉しく感じられた。