二週間後の偽装彼氏~義兄の兄に溺愛?されています~

予行演習デート

 その数日後、今度は日曜日。

 美璃はまたしても颯士の車の中にいた。

 運転席では颯士がハンドルを握って、にこやかに話をしている。

 あの日は仕事帰りで、平日だったこともあり、軽くご飯を食べてから、颯士に家まで送ってもらった。

 しかし帰り際に、「今度はお休みの日に会おう」と提案されて、そして今日、こうして朝から一緒に出掛けることになっている。

「どこへ行くんですか?」

 ちょっとだけお洒落をしたワンピース姿の美璃は、運転席の颯士に何気なく聞いた。

 だが、颯士の返し方に顔を赤くすることになる。

「どこへって、デートだよ」

 悪戯っぽく言われて、美璃は心臓が口から出るかと思った。

「えっ!」

 驚きの声、一言しか出なかったくらいだ。

 目を白黒させる美璃に、颯士はここまでと同じ、さらっとした口調で説明する。

「それらしくできるためにね。今日は予行演習だと思って」

 そう言われたら、受け入れるしかない。

 それに……。

「え、あ……はい……」

 うつむいて、答える声はもじもじしてしまった。

 それに……嬉しい、と思ってしまう。

 素敵だと思っていた颯士と、こうしてデートに行けるなんて。

 たとえ予行演習だとしても嬉しいし、心弾んでしまうと思う。

 ただ、動揺はするし、気恥ずかしいだけで。
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