二週間後の偽装彼氏~義兄の兄に溺愛?されています~
 それで出てきた質問に、美璃はぎくっ、と、どきっ、が一緒にある高鳴りを感じた。

 だって、まるでやきもちでも妬いているかのような質問だ。

 あせあせしながら、本当のことを口に出す。

「ち、違いますよ! 女の子です!」

 美璃が焦って言った説明に、颯士は細くした眼差しをすぐに戻した。

「それなら良かった」

 優しいものに戻った目で言われたけれど、美璃が安堵するにはまだ早かった。

「デートで『ほかの男と来た店』は妬いてしまうからね」

 さらりと言われるので、美璃はもう、真っ赤になった自覚がある頬をうつむけるしかない。

「……もう。颯士さんったら」

 ぼそっと出た声は、まるで拗ねるような響きになった。

「はは。美璃はかわいいな」

 でも颯士はやはり、気にした様子もなく、さらに追い打ちをかけてくる。

 パンケーキはとっても甘くて美味しいけれど、このやり取りのほうがずっと甘い、と思ってしまう。
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