二週間後の偽装彼氏~義兄の兄に溺愛?されています~

婚約パーティーのスタート

 会場に一歩足を踏み入れた瞬間、周りの空気がざわめくのを美璃は肌で感じた。

 颯士の腕に添えた手を、きゅっと軽く握ってしまう。

「本日はお招きありがとうございます」

 ハイヒールを履いた美璃に合わせて、ゆっくり歩いてくれる颯士が周りへ挨拶する。

 周囲からは驚いたような視線が向けられた。

 美璃にその意味はよくわからなかった。

(颯士さんがカッコいいからかな? でもそれだけにしては……?)

 不思議に思ったけれど、自分も挨拶をしながらゆっくり奥へ進んでいった。

 会場もまた、豪華な内装だった。

 婚約のパーティーなのだから、白とシルバーを基調とした、華やかな飾りつけがされている。

 立食形式のパーティーなので、隅にはこれから料理が運ばれてくるらしきセットが置いてあった。

 白いクロスがかけられたテーブルがいくつか並び、颯士はそのうちのひとつの前で、立ち止まる。

「このへんで過ごそうか?」

 提案されたが、なにしろ美璃はこういったパーティーが初めてだ。

 勝手もわからないし、不満もなかったので、「うん」と受け入れておく。
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