二週間後の偽装彼氏~義兄の兄に溺愛?されています~
(……え?)

 美璃は不思議に思った。

 なにに驚いたというのか。

 自分はただ、颯士と隣同士で拍手をしていただけなのに。

 しかしすぐに麻耶は表情を笑みに戻した。

 ふいっと違うほうを向く。

 それでそのまま奥へ歩いていった。

(なんだったんだろうな?)

 今日は不思議に思ってばかりだ、と美璃は内心、首をひねる。

 やがて会場の奥にある壇に着いた冬治と麻耶を中心に、パーティーが本格的に始まった。

 冬治と麻耶、それぞれによる挨拶のあと、スタッフによりたくさんの料理が運ばれてきて、自由な歓談となる。

 その中を、今日の主役である冬治と麻耶が回っていく形らしい。

 声をかけるにしても、そのときかな、と美璃は呑気に思った。

 あまり話したいわけではないけれど、どっちにしろ、すぐにはタイミングがなさそうだ。
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