邪竜の鍾愛~聖女の悪姉は竜の騎士に娶られる~
優しい声がミリエルに降ってくる。そして。
「いつ、だれが、お前のものになった?」
──冷たい、血の一滴まで凍り付くような声が、遠くのセレナに投げかけられた。
キイン、と音がした。ガラスとガラスがすりあわさるような音。
目を開けたミリエルが見たものは、ユアンに残る竜の証、背の大きな翼にぶつかった光の球が、そのまま弾かれて逆行し、セレナの頭に向けて吸い込まれるところだった。
パン!という炸裂音、それとともにセレナの体がふらりと傾ぐ。
咄嗟に駆け寄ろうとしたミリエルを強い力で抱き留めたのはユアンだった。
「ユアン……!」
「ミリーが情けをかける必要はないよ。もう、終わった」
「終わった、って」
ミリエルがユアンを振り仰ぐ。そこには、ユアンの静かな表情があるだけだった。
「ゆ、あん」
背後でセレナが再び護衛兵に取り押さえられている。
しかし、セレナは異様に静かだった。まさか死んでしまったのでは、とセレナへともう一度視線を返す。はたして、セレナは生きていた。
ただし、きょとん、と驚いたような顔をして。
今自分が何をしたのか、気付いていないのだろうか。いいや、そんなことはあり得ない。それならなぜ。
……答えはすぐに知れた。
「いつ、だれが、お前のものになった?」
──冷たい、血の一滴まで凍り付くような声が、遠くのセレナに投げかけられた。
キイン、と音がした。ガラスとガラスがすりあわさるような音。
目を開けたミリエルが見たものは、ユアンに残る竜の証、背の大きな翼にぶつかった光の球が、そのまま弾かれて逆行し、セレナの頭に向けて吸い込まれるところだった。
パン!という炸裂音、それとともにセレナの体がふらりと傾ぐ。
咄嗟に駆け寄ろうとしたミリエルを強い力で抱き留めたのはユアンだった。
「ユアン……!」
「ミリーが情けをかける必要はないよ。もう、終わった」
「終わった、って」
ミリエルがユアンを振り仰ぐ。そこには、ユアンの静かな表情があるだけだった。
「ゆ、あん」
背後でセレナが再び護衛兵に取り押さえられている。
しかし、セレナは異様に静かだった。まさか死んでしまったのでは、とセレナへともう一度視線を返す。はたして、セレナは生きていた。
ただし、きょとん、と驚いたような顔をして。
今自分が何をしたのか、気付いていないのだろうか。いいや、そんなことはあり得ない。それならなぜ。
……答えはすぐに知れた。