邪竜の鍾愛~聖女の悪姉は竜の騎士に娶られる~
自分の知る聖女は、あの聖女もどきとは比べ物にならないほど美しく、清廉だったのだと思う。そう、今目の前にいる、凛としたこの少女のように。
そんなことを考えていると、ふいにやわらかなものが自分の頬をぬぐった。それは、聖女の生まれ変わりが差し出した白いハンカチーフだった。
「妹がごめんなさい。こんなことしかできないけれど……。わたしが代わりに謝ります。怪我はしていない?」
「怪我はない。それより、君はいいのか? ハンカチーフが汚れてしまう」
「ハンカチーフ、なんてずいぶん古風な言葉を使うのね。いいの。どうせ『はきだめ』には分不相応なものだったんだもの。白いハンカチなんて、こんないい品はとり上げられて終わりだわ」
「はきだめ?」
聖女の生まれ変わりが口にした言葉が気になって問い返す。彼女は目を伏せた。銀のまつ毛が陽の光できらきらと輝いている。
そんなことを考えていると、ふいにやわらかなものが自分の頬をぬぐった。それは、聖女の生まれ変わりが差し出した白いハンカチーフだった。
「妹がごめんなさい。こんなことしかできないけれど……。わたしが代わりに謝ります。怪我はしていない?」
「怪我はない。それより、君はいいのか? ハンカチーフが汚れてしまう」
「ハンカチーフ、なんてずいぶん古風な言葉を使うのね。いいの。どうせ『はきだめ』には分不相応なものだったんだもの。白いハンカチなんて、こんないい品はとり上げられて終わりだわ」
「はきだめ?」
聖女の生まれ変わりが口にした言葉が気になって問い返す。彼女は目を伏せた。銀のまつ毛が陽の光できらきらと輝いている。