邪竜の鍾愛~聖女の悪姉は竜の騎士に娶られる~
 力が強まったことに気付いてか、ミリエルが振り返ってユアンを振り仰ぐ。
 きょとんと目を丸くするミリエルが、とんでもなく愛くるしい。
(ああ、愛しい)
 ──君を、愛していると思ったんだ。
 そう伝えたユアンに、ミリエルは一瞬驚いた顔をした後、嬉しそうに笑った。花がほころぶようだった。
「わたしもよ、ユアン。……どんな所にいても、あなたがいればほっとするの。あなたは、わたしのお月さまだわ」
 そう言ったミリエルに鼻先に口付けられ、ユアンは目を見開き、そして、ゆるゆると満ち足りた気持ちで目を細めた。
 空の上で、遠くに星が瞬いている。
 きらきらと、きらきらと。
 それはきっと、しがらみから解き放たれた二人への、天からの祝福だった。

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