邪竜の鍾愛~聖女の悪姉は竜の騎士に娶られる~
「聞こえる? ミリー、僕の心臓、こんなにドキドキしてる」
「聞こえる……。本当に、わたしを好きなの? ユアン」
ミリエルのおびえた言葉に、ユアンが微笑む。
「ああ」
「わたしは、あなたを好きでいていいの」
「もちろん」
「わたし……」
ミリエルは目を閉じた。頭の中にぐるぐると回るのは、双子の妹、セレナのことや、周りの言葉。でも、今大切なのはきっと、それじゃない。
ミリエルは、荒れ狂う感情が収まるのを待って目を開けた。もう一度ユアンを振り仰いで、そうして、泣きながら、笑った。
「あなたを、愛してるわ、ユアン」
それは、先ほど口にした諦観混じりの声音で塗りつぶされたものではなかった。
未来を見た、希望を抱いた、心からの言葉だと、ユアンにもわかったのだろう。
「ああ、ミリー!」
嬉しくてならない、とユアンがミリエルを抱き上げる。
その拍子に顔が近づいて、ミリエルはあ、と思った。
胸いっぱいにユアンの匂いが広がって、吐息が混ざっているのを理解した。
キスされているのだ。ゼロになった距離で、目に映るユアンの長いまつ毛が幻想的にすら思えた。
「聞こえる……。本当に、わたしを好きなの? ユアン」
ミリエルのおびえた言葉に、ユアンが微笑む。
「ああ」
「わたしは、あなたを好きでいていいの」
「もちろん」
「わたし……」
ミリエルは目を閉じた。頭の中にぐるぐると回るのは、双子の妹、セレナのことや、周りの言葉。でも、今大切なのはきっと、それじゃない。
ミリエルは、荒れ狂う感情が収まるのを待って目を開けた。もう一度ユアンを振り仰いで、そうして、泣きながら、笑った。
「あなたを、愛してるわ、ユアン」
それは、先ほど口にした諦観混じりの声音で塗りつぶされたものではなかった。
未来を見た、希望を抱いた、心からの言葉だと、ユアンにもわかったのだろう。
「ああ、ミリー!」
嬉しくてならない、とユアンがミリエルを抱き上げる。
その拍子に顔が近づいて、ミリエルはあ、と思った。
胸いっぱいにユアンの匂いが広がって、吐息が混ざっているのを理解した。
キスされているのだ。ゼロになった距離で、目に映るユアンの長いまつ毛が幻想的にすら思えた。