先輩の心、私でも晴らせますか…?

先輩の声



翌日、いつも通り学校に行くと、靴箱に入っていたはずの上履きが無くなっていた。



「………」




ほら、始まった。
冷静にそんなこと思う。


靴下のまま廊下を歩き、教室に向かう。
その道中、すれ違った女子生徒の殆どが、私を睨み、写真を撮り、コソコソと笑った。




教室に入ると、私の席には花瓶に入った菊の花が1輪。
袋に入れて置いていた体操服は、ハサミか何かで切り裂かれていた。



…ここまで、する?



無言で席の前に立ち、正面に目を向ける。

教卓には、肘を突いて笑っている…梓がいた。



「美久…私を怒らせたら、怖いよ?」
「……そうだね」



それだけ言い、普通に席に座る。

でもそれが…梓を始めとした女子たちの癇に障ったみたい。



「調子に乗るなよ…」



そんな梓の言葉を皮切りに、女子たちはチョークを投げ始めた。

中にコントロールが上手い人も居て、しっかりと私に命中する。




…早く、始業になればいいのに。

先生が来たら…一旦終わるのに…。





そう思いながら耐えていると、教室の後ろの入り口から低く冷たい声が聞こえて来た。





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