先輩の心、私でも晴らせますか…?


嘘の無いその言葉を、きちんと言葉にできた。

心臓がドキドキする…。
緊張しているのか、体が震えて止まらない。

それでも、頑張って言葉を継いだ。


「雨が降ると、先輩の心も泣いています。そんな先輩の心が…何だか心配です」

「…先輩。先輩の心、私でも晴らせますか…?」

「美久ちゃん…」


嬉しそうに微笑み、また強く抱きしめられた。
その先輩の腕は少しだけ震えている。




「あの時、見つかったのが美久ちゃんで良かった…」
「……」

抱きしめられたまま、先輩に耳元で囁かれた。

「ねぇ美久ちゃん。君が傍に居てくれるだけで、俺は心が晴れる気がするんだ。そんな美久ちゃんのことが好きで、傍に居て欲しいと願っているんだけど…どうかな」


この前も言われた…私のことを好きになっているかも、という言葉。


あの時は気のせいだと言って突き放したけれど…。



「……」



小さく頷いて、先輩の言葉を肯定した。



「美久ちゃん…良いの?」
「…先輩こそ」
「俺は、美久ちゃんが良い」
「………」


再び頷いて、抱きしめてくれている先輩の体に…そっと手を回す。
初めて触れた先輩の背中は…とっても……大きかった。




先輩の体に顔を埋めながら、横目で窓の外を見る。


さっきまで降っていたはずの雨は止み、雲の隙間から少しだけ太陽の光が差し込んでいた。






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