先輩の心、私でも晴らせますか…?

クラスマッチ



「きゃー、向井先輩!! カッコイイ!!!」
「敦史せんぱーい!! ナイスシュート!!」


クラス対抗クラスマッチ。
バスケットボール、ドッヂボール、卓球、オセロの4種目だ。

私と梓はオセロに参加している。


オセロの会場はバスケットボールの隣。
そんなバスケットボールに向井先輩が参加しているようで、それはそれはもう、大変な盛り上がりを見せていた。

空き時間となっている他競技の人もバスケットボールの会場に訪れており、もはやクラスマッチを通り越して練習試合かのような盛り上がり具合…。


「いっけー、向井先輩!!」
「1年なんて吹っ飛ばせ~!!!」


今は向井先輩が所属する3年3組と、1年2組が試合をしている。
何というか……ただただ、1年生が可哀想な光景…。


「1年の女子も3年を応援している…。酷い光景だね、梓…」
「向井先輩、カッコイイ~!!!!」
「……」


私の呟きは、隣にいる梓に届かなかった。



…しかし。
向井先輩、本当に凄い人気だよね。


何で学年を問わず、女子があんなにもぞっこんになっているのか…甚だ理解に苦しむ。


キラキラして、笑顔を振り撒いて、優しい向井先輩よりも。退屈そうで、気だるそうで…何だか悲しそうな…そんな、何とも言えない表情。


そっちの方が私的には気になって…仕方ないのだけど…。


「オセロ第3試合始めます。2年2組の選手、席についてくださーい」
「あ、梓。次出番だよ!!」
「うそ!! まだ向井先輩を見ていたいのに!!」


後ろ髪を引かれるように、梓は駆け足でオセロ会場に戻って行った。


「……」


天気予報によると、今週は梅雨の中休みに入るらしい。
当分、私が教室棟に向かうことは…無いかな…。


そんなこと、ふと思った。

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