正源司さん、弱虫怪人くんに恋をする。
◯同・撮影ステージ(夕)

ヒーロー&怪人ツーショットチェキ会の看板が立っている。

ヒーローと敵幹部には行列が出来ているが、その他の怪人達には誰も並ばず滑走路と化している。

怪人B「誰も来ねーじゃん」

怪人C「あいつが変な真似するからだよ」

怪人B「ああ、アレマジ意味わかんねえよな」

怪人らは隅に立つ楠木に冷たい視線を送る。

楠木「ご、ごめんなさい」

スタッフ「あー君達、もう先に帰っていいよ」

怪人B「え、マジすか」

スタッフ「ああ。チェキ代分は無いけどバイト代受け取ったら解散して」

スタッフに指示されて怪人達が撤収しようとすると、正源司が現れる。

正源司「すみません、チェキ撮りたいんですけど」

スタッフ「はい、ヒーローの方と敵幹部どちらになさいますか?」

正源司「いえ、そこの怪人とです」

正源司は俯きながら怪人達を指差す。

スタッフ「え?」

怪人B「は? 俺らと?」

怪人C「マジかよ、悪趣味だな」

怪人B「でも女の子とチェキいいじゃん」

怪人C「なんか陰キャっぽいな、まあいっか」

スタッフは困惑し、怪人達は浮足立つ。

正源司「違います、違います、一番端にいるやらかし怪人さんと撮りたいんです」

スタッフ「え、キミ、怪人の区別つくの?同じ見た目なのに」

正源司、ヲタク特有の早口で話す。

正源司「はい、だってレッドにパンチした痕が拳についてますもん。雑魚怪人が攻撃をクリーンヒットさせるなんて、常識的に有り得ないですもん」
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