真夜中プラトニック
「は、あ……っん、さくや、さん……」


 彼女の甘い声が、ますます俺の頭をだめにする。

 激しく唇を貪り合いながら、ベッドに寝転んでいた体勢を入れ替えて、陽咲の身体を組み敷いた。

 一度顔を離すと、今度は陽咲の方からキスをしてくれる。それで完全に、俺は理性を手放した。

 彼女の身体は、想像以上だった。どこもかしこも敏感で、俺が触れるといちいちかわいい反応を見せてくれるから、ずいぶんとしつこくかわいがってしまった。
 大きな瞳に涙をいっぱいに溜めながら「朔夜さん」と呼ばれると、いとも簡単に俺の下半身が熱を上げるから大変だった。

 陽咲の方も積極的に触れてきたりまったく嫌がる素振りを見せなかったのは、うれしいけれど戸惑う誤算だ。俺の妄想の中の陽咲は、ずいぶん欲しがりらしい。どんな陽咲も、俺は愛しているが。

 彼女とひとつになったとき、さすがにこれが夢ではなく現実だと気づいたけれど、束の間動揺して腰を引きかけた俺に「やめないで」と陽咲が自ら足を絡め深く口づけてきたから、完全に止まる理由を見失った。

 好きだとも、愛しているとも言えないまま。俺は骨の髄まで、彼女を味わい尽くしたのだ。
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