真夜中プラトニック
自身の目もとを片手で隠しながらうつむく朔夜さんが、血を吐くような苦しげな声音で言った。
「陽葵が死んだのは、俺のせいだ」
あまりの言葉に、息をするのを忘れた。
私と決して目を合わせないまま、彼は続ける。
「陽葵が事故に遭う直前まで、俺たちは一緒にいた。ちょうどアイツの職場の近くに来ていたから、呼び出して一緒に昼飯を食べた。俺が『相談がある』なんて言ったから、アイツは陽咲が作ってくれた弁当があったのに、わざわざ俺の呼び出しに応じて来てくれた」
淡々と、なのに悲痛さを帯びた声が、あの日のことを語る。
は、と朔夜さんが、震える息を吐いた。
「相談っていうのは、きみに……陽咲に、俺が『好きだ』と伝えていいか、兄である陽葵に話を通しておこうと思ったんだ。アイツは、『そんなことわざわざ俺に聞くなよ』って、笑ってたけど」
「…………」
「俺が陽咲を欲しがったりしたから……俺があの日あの時間あの場所に陽葵を連れ出したから、陽葵は死んだ。全部、俺のせいだ。だから俺は本当は、きみに触る資格がない……」
今度は両手で顔を覆いうなだれる朔夜さんを、私はたまらない想いで見つめる。
このひとは――今までずっと、ひとりで、抱えて。
私は自然に、手を伸ばしていた。朔夜さんの手首に指先が触れると、ビクリと彼の身体がこわばる。
けれど構わず、そっとその手首を掴んで顔から外させた。苦しげな顔をした朔夜さんと、目が合う。
私は彼を見つめて微笑んだ。
「陽葵が死んだのは、俺のせいだ」
あまりの言葉に、息をするのを忘れた。
私と決して目を合わせないまま、彼は続ける。
「陽葵が事故に遭う直前まで、俺たちは一緒にいた。ちょうどアイツの職場の近くに来ていたから、呼び出して一緒に昼飯を食べた。俺が『相談がある』なんて言ったから、アイツは陽咲が作ってくれた弁当があったのに、わざわざ俺の呼び出しに応じて来てくれた」
淡々と、なのに悲痛さを帯びた声が、あの日のことを語る。
は、と朔夜さんが、震える息を吐いた。
「相談っていうのは、きみに……陽咲に、俺が『好きだ』と伝えていいか、兄である陽葵に話を通しておこうと思ったんだ。アイツは、『そんなことわざわざ俺に聞くなよ』って、笑ってたけど」
「…………」
「俺が陽咲を欲しがったりしたから……俺があの日あの時間あの場所に陽葵を連れ出したから、陽葵は死んだ。全部、俺のせいだ。だから俺は本当は、きみに触る資格がない……」
今度は両手で顔を覆いうなだれる朔夜さんを、私はたまらない想いで見つめる。
このひとは――今までずっと、ひとりで、抱えて。
私は自然に、手を伸ばしていた。朔夜さんの手首に指先が触れると、ビクリと彼の身体がこわばる。
けれど構わず、そっとその手首を掴んで顔から外させた。苦しげな顔をした朔夜さんと、目が合う。
私は彼を見つめて微笑んだ。