真夜中プラトニック
「私、知ってましたよ。あの日お兄ちゃんが、朔夜さんと一緒にいたこと」
「……え」
驚いた表情をしている朔夜さんの頬を、私はすりすりと撫でる。
「朔夜さんにお昼ごはん奢ってもらったって、写真付きで自慢げにメッセージを送ってきたので。たしかお兄ちゃんはカツ丼で、朔夜さんが天ぷらの定食でしたよね」
「あ……そう、だ」
「お兄ちゃん、私が朔夜さんのこと慕ってるの知ってたから、朔夜さんと会った後はいっつも自慢してきたんですよ。だからあの日も、そうだった」
呆然とこちらを見ている朔夜さんに、ゆっくりと、言い聞かせるように続けた。
「私は知っていました。そのうえで、あなたのせいだなんて、一度だって思ったことはない。朔夜さんが自分を責める必要なんて、これっぽっちもないんです」
穏やかに、けれど断言した。
それを聞いた朔夜さんの顔が、どこか泣き出しそうに歪む。
「でも……俺は、」
「私は、朔夜さんが好きです」
息をのんで固まった彼に、私は笑いかけた。
「大好きです。だから、触って欲しかった。触ってもらえて、うれしかったの」
「陽咲……」
「朔夜さんも……私のことが好きって、本当ですか?」
彼の頬を挟んでいた私の手に、大きな手が重なる。
そうして朔夜さんも、少し潤んで見える瞳をやわらかく細め、困ったような顔で笑った。
「……え」
驚いた表情をしている朔夜さんの頬を、私はすりすりと撫でる。
「朔夜さんにお昼ごはん奢ってもらったって、写真付きで自慢げにメッセージを送ってきたので。たしかお兄ちゃんはカツ丼で、朔夜さんが天ぷらの定食でしたよね」
「あ……そう、だ」
「お兄ちゃん、私が朔夜さんのこと慕ってるの知ってたから、朔夜さんと会った後はいっつも自慢してきたんですよ。だからあの日も、そうだった」
呆然とこちらを見ている朔夜さんに、ゆっくりと、言い聞かせるように続けた。
「私は知っていました。そのうえで、あなたのせいだなんて、一度だって思ったことはない。朔夜さんが自分を責める必要なんて、これっぽっちもないんです」
穏やかに、けれど断言した。
それを聞いた朔夜さんの顔が、どこか泣き出しそうに歪む。
「でも……俺は、」
「私は、朔夜さんが好きです」
息をのんで固まった彼に、私は笑いかけた。
「大好きです。だから、触って欲しかった。触ってもらえて、うれしかったの」
「陽咲……」
「朔夜さんも……私のことが好きって、本当ですか?」
彼の頬を挟んでいた私の手に、大きな手が重なる。
そうして朔夜さんも、少し潤んで見える瞳をやわらかく細め、困ったような顔で笑った。