エリート外交官は溢れる愛をもう隠さない~プラトニックな関係はここまでです~
「もう少し調子が戻ったら、昔行ったラーメン屋に行くか。まだセーラー服着てた陽咲が、汗で顔をツヤツヤさせながらイイ笑顔でとんこつラーメン食べてたあの店」
「もっ、もう……! 忘れてくださいそんな記憶……!」
実家の近くにあった、ちょっと狭くて年季の入ったラーメン屋の話である。あの頃は体型も今よりお肉多めだったし、高校生だった頃の話なんて恥ずかしい。
完全にからかっている様子の朔夜さんにまんまと遊ばれて、私は熱くなった頬を隠すように両手で覆った。
そのままうつむいて羞恥に耐えていると、不意に、すぐ近くで気配。
「ごめん、陽咲。俺には楽しい思い出だったから、ついからかいすぎた」
ちょん、と右手の甲をつつかれて、隠していた目もとをそろりと出した。
ソファに座る私のすぐ傍ら、朔夜さんが跪いてじっとこちらを見ていた。
その、まるで捨てられた仔犬のような眼差しに、不覚にもきゅーんと胸がときめいてしまう。
どうしよう。朔夜さんは六歳も年上の大人の男性なのに、今すごーく、かわいいと思ってしまった。
「お……っ怒って、ません、よ」
口もとは隠したまましどろもどろ返すと、彼は「本当に?」と顔を覗き込みながら念押ししてくる。
その、ちょっとあどけない口調にも、きゅんとする。
「ほんとう、です……!」
「そうか。良かった」
ホッとした様子で安心したように微笑む朔夜さんを直視できず、私はもじもじと視線を泳がせた。
「もっ、もう……! 忘れてくださいそんな記憶……!」
実家の近くにあった、ちょっと狭くて年季の入ったラーメン屋の話である。あの頃は体型も今よりお肉多めだったし、高校生だった頃の話なんて恥ずかしい。
完全にからかっている様子の朔夜さんにまんまと遊ばれて、私は熱くなった頬を隠すように両手で覆った。
そのままうつむいて羞恥に耐えていると、不意に、すぐ近くで気配。
「ごめん、陽咲。俺には楽しい思い出だったから、ついからかいすぎた」
ちょん、と右手の甲をつつかれて、隠していた目もとをそろりと出した。
ソファに座る私のすぐ傍ら、朔夜さんが跪いてじっとこちらを見ていた。
その、まるで捨てられた仔犬のような眼差しに、不覚にもきゅーんと胸がときめいてしまう。
どうしよう。朔夜さんは六歳も年上の大人の男性なのに、今すごーく、かわいいと思ってしまった。
「お……っ怒って、ません、よ」
口もとは隠したまましどろもどろ返すと、彼は「本当に?」と顔を覗き込みながら念押ししてくる。
その、ちょっとあどけない口調にも、きゅんとする。
「ほんとう、です……!」
「そうか。良かった」
ホッとした様子で安心したように微笑む朔夜さんを直視できず、私はもじもじと視線を泳がせた。