真夜中プラトニック
6.助言と大失敗

「やっと、終わった……」


 疲れきって床に腰を下ろした私の前のローテーブルに、コトンとマグカップがふたつ置かれた。


「お疲れ、陽咲〜! ほんと助かったわありがとう!」
成美(なるみ)……こうなる前にちゃんと片付けなさいって、今まで何回も言ってるじゃない……」
「あはは、ついね! なんだかんだ文句言いつつ、陽咲たちがいつも手伝ってくれるからさ」


 笑いながらそう言って隣に座った彼女は、木澤(きざわ)成美。私の高校時代からの友人だ。

 成美は昔から、整理整頓というものが苦手なタイプだった。就職してひとり暮らしをするようになって以降は、定期的に私や他の友人が彼女の家を訪れて、その有様に苦言を呈しつつなんだかんだと片付けを手伝っている。

 今日有給をとった彼女はさっそく朝から部屋の掃除に取りかかろうとしたらしいのだが、早々に音を上げて私に連絡をしてきたというわけだ。


「ほんっとーに感謝してます陽咲サマ! ランチは私が奢らせてもらいます! 好きなもの食べて!」
「もう……」


 両手を合わせてペコペコと頭を下げる成美に、仕方ないなという思いで苦笑した。

 まったくもう、これだから憎めない。
 整理整頓が苦手で、甘え上手の愛され上手。それが木澤成美なのだ。
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