孤独な強面天才外科医は不自由な彼女を溺愛したい
「え、彼女!?」

「違います!」

 カウンターの女性の声をかぶせ気味で否定すると、碧人は「あれ、違った?」と笑った。

 白哉とは正反対の、爽やかで人当たりの良い人。白哉を呼び捨てにしているくらいだから、きっと仲が良いのだろう。
 杏依は彼にならと、持っていた菓子折りを差し出した。

「これ、白哉先生に渡していただけませんか? この間助けていただいた御礼にお持ちしたんですけど――」

「あー、ちょっと待ってて。白哉なら今、ランチタイムのはずだから」

「え?」

 碧人が白衣のポケットからスマホを取り出す。杏依はカウンター内をちらりと見た。女性は顔を伏せてしまった。

「ああ、そっかごめんね。ちょっと複雑な内情があるんだ」

 どこかに連絡を入れた碧人は「今日の約束はまた今度ね」とカウンターの女性に告げ、杏依についてくるよう言った。
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