孤独な強面天才外科医は不自由な彼女を溺愛したい
「あの噂があるから、病院への面会は全てお断り。でもただ断ってばかりだと、とやかく言ってくる人もいるでしょ?
 だから、君が言われたみたいに、白哉は常にオペ中ってことになってるんだ。まあ、白哉は予定空いてたら執刀(オペ)予定入れちゃう人だから、あながち間違いじゃないんだけどね」

 碧人はケラケラ笑った。

「白哉はすごいんだよ。判断はいつも的確で早い。いろんな可能性を考えて、切るべきか切らないべきか瞬時に見抜くんだ。救急医療の現場にひっぱりだこなんだよ。
 でも、病院的には『人殺し』なんて世間体が悪いでしょ? それにあの人相。だから白哉は基本的には患者と会わない。外来も診ないし執刀(オペ)しかしない。
 ……白哉はひとつでも多くの手術をすることで、償おうとしてるんだろうけど」

「償う……?」

 杏依は呟いたけれど、蝉時雨にかき消されてしまった。
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