孤独な強面天才外科医は不自由な彼女を溺愛したい
 やがて一部が終わったらしい。会場から数多の親子連れが出てきて、白哉はそっと端に避けた。その時。

「なんで、あなたが……」

 顔面を蒼白にしながら、白哉を見つめる一人の女性の姿があった。

「人殺し!」

 女性の叫び声に、白哉ははっと顔を上げた。
 緩み切っていた頬を引き締め、冷静な顔でいられるように努める。

 白哉は辺りを見回した。叫んだ声の主は、すぐに見つかった。
 少女の手を引き、こちらを睨む女性。歳は自分と同じくらい。

 六年前、自分が殺してしまった患者・大熊(おおくま)(はじめ)の妻だ。淡い青色のドレスを着た、小さな女の子の手を引いている。
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