孤独な強面天才外科医は不自由な彼女を溺愛したい
「杏依先生、さようなら!」

 帰っていく子どもたちに手を振り終えると、杏依は白哉の姿を探した。ちゃんと、彼にも届いただろうか。

 すると、突然目の前にピンク色の花束が現れた。

「はい、これ。彼氏サンからだよ」

 花束の後ろからひょっこりと明美が顔を出す。

「え? 彼氏って――」

「ほら、久我総合病院のお医者さん」

 杏依の脳裏に、白哉が浮かぶ。

「別に彼とは、付き合ってない!」

 キスされたし、抱きしめられたし、ディナーデートまがいのこともしたけれど……。

 思い出しては頬が火照ってしまい、慌てて花束を受け取った。顔を隠すようにその香りを嗅ぐ。

 白哉がこんなに可愛いものを贈ってくれるなんて思わなかった。
 白哉はどこだろう。キョロキョロと会場内を見回すけれど、その姿は見つからない。
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