孤独な強面天才外科医は不自由な彼女を溺愛したい
「俺が研修医の頃、両親と妹が事故死して。ぐしゃぐしゃになって病院に運び込まれた三人を、俺はただ見てるしかできなかった。
それ以来、あのバカでかい家に一人暮らし。病院は叔父家族が継ぐことになって、今はいとこが後継ぎになった」
「それで、〝死神〟……」
「ああ。整形目指してたから、もう誰も死なせねーって、家族の死に目に会って思った。
整形外科医になって、何度も執刀を経験して。足を切る、腕を切る、その判断には自信をつけた。患者の〝死神〟にはならないようにって、必死だった」
「そっか、それで」
杏依は碧人が言っていたことを思い出す。白哉は「何だ?」と言うように、ちらりと杏依に視線を向けた。
「以前、王子先生から伺ったんです。白哉先生のオペは的確で迅速、どうするべきかを瞬時に見抜く、すごいお医者さんだって」
「あいつ……」
白哉は苦虫を噛み潰したような声を出したが、その頬はほんのり染まっていた。
それ以来、あのバカでかい家に一人暮らし。病院は叔父家族が継ぐことになって、今はいとこが後継ぎになった」
「それで、〝死神〟……」
「ああ。整形目指してたから、もう誰も死なせねーって、家族の死に目に会って思った。
整形外科医になって、何度も執刀を経験して。足を切る、腕を切る、その判断には自信をつけた。患者の〝死神〟にはならないようにって、必死だった」
「そっか、それで」
杏依は碧人が言っていたことを思い出す。白哉は「何だ?」と言うように、ちらりと杏依に視線を向けた。
「以前、王子先生から伺ったんです。白哉先生のオペは的確で迅速、どうするべきかを瞬時に見抜く、すごいお医者さんだって」
「あいつ……」
白哉は苦虫を噛み潰したような声を出したが、その頬はほんのり染まっていた。