孤独な強面天才外科医は不自由な彼女を溺愛したい
「お前、自分の家帰らなくていいのか?」

「大丈夫です。親に連絡入れてありますから。それに――」

 杏依は先程の碧人の言葉を思い返す。

「――白哉先生、その腕じゃ一人で大変でしょう? こういう時は、頼ってください」

 二コっと笑って言ったつもりなのに、白哉は不服そうに唇を尖らせた。

「あのさ」

「なんでしょう?」

「その先生っての、やめないか? ……杏依」

「あ……」

 先をゆく彼の頬は、ほんのりと赤い。
 あれだけ怖いと思っていた白哉の頬が、紅潮しているのが嬉しくて仕方ない。

 気がつけば、白哉の家の玄関前まで来ていた。鍵を開ける白哉の背に、杏依は呟くように言った。

「好きです。……白哉、さん」
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