孤独な強面天才外科医は不自由な彼女を溺愛したい
 ガチャリと鍵が開く音がする。同時に、杏依は扉の中へ引き込まれた。

「わ……っ!」

 左腕を掴まれ、思わず前のめりになる。身体は目の前にいた白哉に当たり、思わぬ距離に背筋が伸びた。

 すると白哉の右腕は背後で閉じた扉に押し付けられる。杏依は扉と白哉にはさまれ、動けなくなってしまった。

 白哉の顔が近づいてくる。杏依は飛び出しそうな心臓を左手で抑え、やってくる感触に身を委ねた。

 交わされた口づけは、深く深く、杏依を求める。

「んん……あふ……」

 杏依はうっとりとしたため息を零しながら、薄く唇を開いて彼の衝動に応えた。
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