孤独な強面天才外科医は不自由な彼女を溺愛したい
 あの日、杏依が憎んでいた相手は、優しすぎるお医者さん。それゆえ、心まで殺されたと思い込み、不自由さを感じていた。

 けれど、今は愛しい、たったひとりのかけがえのない人。彼となら、いつまでも、どこまでも。

「――これから先も、ここにいていいんですよね」

「ああ、もちろんだ。これから先、ずっとこの場所は、杏依だけのものだ」

 ふわりとやさしく抱きしめられ、くすぐったい空気に笑みがこぼれる。幸せに浸りながら顔をあげると、すぐに柔らかなキスが降ってきた。

「なあ」

「何です?」

「……愛してる」

「私もです」

 ピアノの残響が残る部屋の中で、二人は互いのキスに酔いしれる。

「今日も、いいか?」

 それは、身体を重ねたいの合図。

「はい!」

 杏依は白哉に手を引かれながら、今日もベッドルームへと誘われるのだった。


〈終〉
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