孤独な強面天才外科医は不自由な彼女を溺愛したい
幻肢痛――それは、あるはずのない体の部位が痛むという病状だ。
脳の勘違いだとか、切断前の痛みがぶり返しているのだとか言われるが、その引き起るメカニズムは分かっていないらしい。長くても数時間で痛みは治まるが、杏依はあの日から時折、突然沸き起こるこの痛みに悩ませられ続けている。
この痛みは、ただの幻想。だから、ひたすらに耐えるしかない。
周りに迷惑をかけるわけにはいかない。俯き、ぎゅっと目を瞑って痛みをやりすごそうとした。
「大丈夫じゃねーだろ!」
突然、左腕を掴まれた。そのまま引っ張られ、慌てて立ち上がる。
「おお、白哉先生?」
「『おお』じゃねえぞ王子。昔に治療したよしみだ、連れて帰る」
「あの、ちょっと――」
杏依はなぜかこちらを睨みつけていた白哉によって、お店の外へと連れ出された。
脳の勘違いだとか、切断前の痛みがぶり返しているのだとか言われるが、その引き起るメカニズムは分かっていないらしい。長くても数時間で痛みは治まるが、杏依はあの日から時折、突然沸き起こるこの痛みに悩ませられ続けている。
この痛みは、ただの幻想。だから、ひたすらに耐えるしかない。
周りに迷惑をかけるわけにはいかない。俯き、ぎゅっと目を瞑って痛みをやりすごそうとした。
「大丈夫じゃねーだろ!」
突然、左腕を掴まれた。そのまま引っ張られ、慌てて立ち上がる。
「おお、白哉先生?」
「『おお』じゃねえぞ王子。昔に治療したよしみだ、連れて帰る」
「あの、ちょっと――」
杏依はなぜかこちらを睨みつけていた白哉によって、お店の外へと連れ出された。