両隣を真面目×不良な双子にはさまれた私は運命をうらんでます!

奏空くんとバッタリ


「また手伝ってもらって悪かったな、成田」


 放課後、担任に頼まれた仕事を手伝っていたら帰りが遅くなった。


 昇降口を出たところで、後ろから急に声をかけられる。


「成田さん!」


 え……?

 振り返るとそこには奏空くんがいた。相変わらずのイケメン、満点の笑顔。


「諏訪野くん、どうしたの……」

「はは、苗字で呼んだら、どっちかわかんないよ」


 たしかに、でも男の子を下の名前で呼ぶのはやっぱり慣れない。

 天音くんが初めてでかなり緊張したのに、奏空くんのことまでいきなりは名前呼びできないよ。心の中では呼んでるけどさ。


「冗談冗談、おれたち案外違うでしょ?」

「ん、うーん。どうかなぁ。顔はそっくりだけど」


 同じクラスになって奏空くんのことをよく目で追っていたからぜんぜん見分けはつくけど、恥ずかしくてそんなこと口にはできない。


「成田さん、さっきどうして天音のこと名前で呼んでたの」


 奏空くんの顔から一瞬微笑みが消えた気がした。


「さっき!?」

「あー、朝のこと。天音が声かけた時、名前呼んで返してたでしょ」


 うそ、あれ聞こえてたんだ.......全然声出てなかったと思うけど……。耳いいんだなあ奏空くん。


「えっと、それは……。呼べって言われたから……?」

「いつ? どこでそんな話したの?」

「昨日の、放課後……」

「なんだあいつ、あのあと学校に来たんだ……」


 なんだか尋問みたいで少し困惑した。奏空くんは何を知りたがってるんだろう。これ以上この話を続けると、キスのことも言いそうになってしまうから流れを切りたかった。


「あのさ! 二人は、見た目は似てるけど、中身は正反対だよね。しゃべりかたとかも」

「そうだねえ。でも、天音のことはうらやましいって思うよ」

「そうなの?」


 意外だった。どうしてだろう……?


「昔から目立ちたがりで、強引なところあるし、だからアイドルなんてできるんだろうけどさ、真似できないよ」


 そっか。アイドルってやっぱり羨ましいんだ。奏空くんも学校のアイドルみたいなものだけど。


「諏訪野くんでも、できると思うよ。カッコいいもん」


 なに言っちゃってんだろ私。奏空くんと話せて舞い上がってるのかな。


「そうかな。まあおれはアイドルに興味ないよ。一人の子が見てくれてればそれでいい、かな」


 そうなんだ。もしかして奏空くん、好きな子いるのかな……。思われてるその子はうらやましい限り。


「ねえ、成田さん。お願いあるんだけど」


 え……な、なに!
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