両隣を真面目×不良な双子にはさまれた私は運命をうらんでます!
屋上にて2
次の日、二日続けて天音くんは学校に来た。みんな驚いており、さっそく席の周囲には人だかりができる。
「天音、ちーっす!」
「今日も来たんだ。珍しいな」
そんな感じだから私の席の周辺は、昨日に引き続き休み時間のたびに騒がしかった。
今日も屋上で食べよっと。
昼休みになると同時に、私は屋上へ向かった。
顔に当たる風がとても心地よい。
お弁当を食べていると、階段の方で音がした。そして昨日と同じタイミングでまた人が現れた。
「ここにいたんだね」
「──あ、あれ!? あ、奏空くん」
一瞬、天音くんに見えたけど、奏空くんだった。
「そうだけど、どうかした? もしかして、昨日の昼休み、天音のやつここに来たとか?」
「えっ! どうしてわかったの?」
「だって昼休み、二人ともいなかったもんね」
「うん、そう。昨日は天音くん、今日は奏空くんが来たからビックリしちゃった」
「やっぱり天音も、悠乃ちゃんのこと狙ってるのかな」
も? 今、天音もって言った? 聞き間違いだよねたぶん……。
「天音くん、学校に来て……よかったね」
「……そうだね。あいつ学校やめるって言ってたくらいなのに」
「そうだったの!?」
「一か月くらい前かな。やめるかもしれないって話をしてたことあるんだけど、おもしろそうなやつが学校にいるから行くようにするって言ってたんだ」
なにそれ……。自由すぎるよ天音くん。
「はは、よくわかんないでしょ?」
「うん、おもしろそうなやつって誰なんだろうね」
「それは……たぶん悠乃ちゃんのことかな」
……えっ?
どうしてそうなるのかわからなかった。
一か月くらい前、やっぱり廊下ですれ違ったのは天音くんだったんだな。でも何も話してないけど。
「そういえば、天音くんが私の名前知ってたんだけど……奏空くんに教えてもらったって言ってたんだけど……」
私の話を聞いてる途中で奏空くんの目の色が変わった。
「奏空くんは、どうして私の名前知ってたの? 一年の頃は喋ったことなかったよね」
「それは……悠乃ちゃんも同じだと思うんだけど、学年二位の生徒の名前は、いやでも目に入っちゃうし、覚えてただけだよ」
学年二位、たしかに定期試験の総合順位で、私はだいたい二位に入ってる。一位はもちろん奏空くん。
でも、まさかいつも一位の奏空くんが、二位の生徒のことを気にしてるなんて思わなかった。
奏空くんは照れくさそうに笑う。
「案外、トップってのは怖いもんなんだ。いつ抜かされるのかって不安になるし、一位から二位に落ちたらそれは成績が下がったことになっちゃうからね」
トップの人にしかわからない苦悩。ぽつぽつと語る奏空くんからは嫌味な感じは伝わってこない。本当にそういったプレッシャーがあるんだろう。
「ところで今日の放課後、生徒会の集まりがあるんだけど顔出してみない?」
「今日の放課後……あー、えーっと」
「見学者のためのケーキも用意してあるけど、どうする?」
「じゃあ、ほんとに行ってもいいの?」
「よし決まり。嬉しいな、楽しみにしてるね」
そんなに喜んでもらえるなんて、何も準備してない私としては気が気ではない。
奏空くんにいったい何を期待されてるんだろう。私が生徒会でできることなんてあるんだろうか。