両隣を真面目×不良な双子にはさまれた私は運命をうらんでます!

天音の誘い


「あれー? 二人でどこ行ってたの?」


 昼休みが終わり、教室へ帰ると天音くんが私に声をかけてきた。


 奏空くんとほぼ同時に戻ったの見られてたのかな……。


 私が口ごもっていると、奏空くんが後ろから返事をした。


「屋上でたまたまいっしょになったんだよ。悠乃ちゃんに」

「ふーん、そっか。奏空もいつのまにか下の名前で呼ぶようになったんだな。悠乃のこと」


 するどいなあ、天音くん。

 なんか、きまず……。


 何やら含みのある表情をしてニヤニヤしている天音くん。対する奏空くんは何も言わずに席についた。


 二人のやりとりは、もう終わったのかな……。


 私がホッとして席につくと、天音くんがすかさず声をかけてくる。


「ねーねー、今日いっしょに帰ろっか」


 無邪気な笑顔を見せている天音くん。


 これって私に言ってる……? それとも奏空くん?


 私がまごついてると、天音くんが指差してきた。


「どうなの? 悠乃に言ってるんだけど?」

「わわたし!? なんで?」

「いっしょに帰りたいからだけど、ダメ?」


 ダメじゃないけど……。


 今日の放課後は奏空くんに生徒会に誘われている。でも、それが終わった後なら──。


 その時、先生が教室に入ってきた。


「始めるぞー、席につけー」


 そこで天音くんとの会話は終わってしまった。


 天音くん……どうして私なんかにそんなにグイグイ来るの……。どうしたらいいかわかんないよ。


 その後、小休憩の時も、天音くんはとくに話しかけてくることはなかった。
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