両隣を真面目×不良な双子にはさまれた私は運命をうらんでます!
奏空の思い
「えっ! それってどういうこと?」
「あれ? わかんねえの? 奏空のやつ、悠乃のことけっこう前から気にしてんだぜ」
「どうして? いつから?」
「んー、たぶん入学の時かな」
「え、そんな前!?」
「あいつ、入学式で新入生代表のあいさつしてたじゃん。でもあれってほんとは入試の成績一番だった悠乃がするはずだったんだろ」
あ……そういえばそんなことがあったっけ……。でもどうして──。
私は入学式のあいさつを先生から頼まれていた。しかし、壇上に立ってみんなの前でしゃべるなんて、私にはとても出来ないと思って事前に断ったのだ。
「うん、実はそう」
「悠乃が辞退したから、二位の奏空に役目がまわってきたってわけだ」
「うん、でもなんでわかったんだろうね……」
「さあ? センコーが口滑らせたんじゃね。奏空、自分よりも成績のいいやつがいたって気にしてたみたいだぜ」
「そうだったんだ……」
「あれでけっこう負けず嫌いなところあんだよあいつ。特に勉強は一番じゃないと気が済まないみたいでさ」
入学式か。そんな前から奏空くんに知られていたなんて……。
「そうそう、言い忘れてた。本題だけど」
天音くんはポケットからチケットを一枚取り出して、差し出してきた。
「明日ライブがあるから来て」
ライブ……!? 明日は土曜日、予定はない。
私が迷っていると、強引にチケットを押し付けてきた。
「悠乃が来てくれたら、俺張り切っちゃうから」
天音くんはそういって満面の笑みを浮かべた。