両隣を真面目×不良な双子にはさまれた私は運命をうらんでます!
上の空
「天音のやつ……」
苦虫を嚙み潰したような表情をする奏空くん。
「あ、天音くんは悪くないの! そこは怒らないで」
「……うん。それで?」
「ほんとに、ごめんね。あんな形で代表に選ばれるのって不本意というか、イヤだよね……」
「……別に、根に持ってるとかそういうんじゃないよ、ただ……」
奏空くんは目を上下左右に動かしながら、言いづらそうに吐き出した。
「悠乃ちゃんを、目標にしてたんだ」
私を……目標……?
「そんな、目標にされるほどじゃないよ……。奏空くんの方が私にとっては目標だったよ。いつも一番で、ずっと憧れてた」
「おれが一番だったのはすぐ後ろに悠乃ちゃんがいたからだよ。だからいつも頑張ってこれた」
「そうなの? そっか……そうだったんだ」
奏空くんの顔に徐々に笑顔が戻りつつあった。
「うん、ところで天音くんから返信きた?」
奏空くんはあわててスマホを確認する。
「何も……きてないかなあ……なにしてんだろうな……」
「そっか……」
その後、他愛もない話をすること数十分。
奏空くんとこうして話してる間も、私は天音くんが気になって仕方なかった。けど、奏空くんが連絡してくれたんだし、これ以上何も口にはしなかった。
「おれさ、一年の時、わざと悠乃ちゃんの近くに行って話したりしたことあるんだよね。気づかなかったと思うけど」
そうだったんだ……。 あれ? なんだろう……。
私が鈍感なのか、奏空くんがまわりくどいのか。とにかく奏空くんがずっと前から私のことを意識してたことが信じられなかった。
でも、どうしてだろう。今気になってるのは目の前の奏空くんじゃなくて……。
「だからさ、悠乃ちゃん。生徒会に入ってほしい」
奏空くんのそんな言葉も、どこか上の空で聞いている私。ずっと頭のどこかで気になってたことが、ふと口をついて出てしまう。
「天音くん遅いね」
奏空くんの表情が曇って、私はハッとした。