両隣を真面目×不良な双子にはさまれた私は運命をうらんでます!
天音の告白
天音くんの話した内容には心当たりがあった。一年生の三学期、春休み前の話だ。
やっぱりあの時鉢合わせたのが天音くんで、そこで私のことを認識したみたい。
「悠乃は、俺のことなんて知りもしないのに、なんでそこまで言えんだよって思った。でもすぐに、そんな風にしか思えない俺の心がクソなんだって気づかされた。あの時の悠乃の言葉にはホントに勇気をもらったんだ」
私が黙っていると、天音くんは珍しく弱々しい口調で言った。
「センコーとの話、盗み聞きして悪かった……」
「謝らなくていいよ。天音くん、話してくれてありがと」
ホッとした眼差しになる天音くん。
「私ね。自分が誰かに影響を与えてるなんて考えたこともなかったの」
天音くんにも、奏空くんにも、私なんかが影響を与えてしまっていた。おこがましいけど、それは事実として受け止めなくちゃいけない。
「俺は、悠乃のこともっと知りたい。こんな気持ちになったのは初めてで、とにかく何かしたいから。悠乃が求めてることなら全力でする!」
なに……それって、どういう……?
「悠乃が好きだ! どうしようもないくらい好きだ。だから付き合ってほしい!」
私は固まった。
その場から駆け出したい衝動に駆られる。でも、天音くんの目力はとても強く、視線をそらすこともできない。
「──っ」
すっと、息をのむ。
「ちょ、ちょっと待って──」
そう言って私は黙り込んだ。
それから、どちらからともなく歩き出した。
その後、無言で駅まで二人で歩いたけど、天音くんの顔は見れなかったからどんな表情をしてたのかわからない。
何をしゃべったかもよく覚えてなくて、気が付いたら家に帰ってた。
ここ数日でいろんなことがありすぎた。
ベッドに横になりながら、もんもんと天井を見る。
日曜日は本当に一瞬で時間が過ぎた。何をしてたのかも覚えてない。
こうして私の週末は過ぎていった。