両隣を真面目×不良な双子にはさまれた私は運命をうらんでます!
席替え
新学期から数日後に席替えがあり、キセキが起こった。
「よろしくね」
──!! ふいを突かれてキョドる私。
とてもさわやかな、反則級の笑顔で話しかけてきたのは隣の席になった諏訪野奏空くんだ。
キレイな黒髪に、クールな目つき、鼻筋がスッと通っているその顔は、近くで見るには眩しすぎた。
「あ、よ、よよ、よろしく。諏訪野くん……」
心臓に悪いって。変な声になってなかったかなあ……私。
「成田さんも俺のこと下の名前で呼んでくれていいからね」
え、待って、そんなこと言われたら女の子は全員勘違いするよ……?
大丈夫、これは恋愛フラグじゃないってことはわかってる。彼が下の名前で呼んでと言った理由はあれだ。
このクラスには諏訪野くんがもう一人いるから。
名前は諏訪野天音くん。
奏空くんが兄で天音くんは弟、二人は一卵性双生児だ。
ちなみに天音くんは二年生になってまだ一度も学校に来てない。なんか一年生の頃も休みがちだったらしいけど。
「う、うん。わかった。諏訪野くん、あっ」
「あはは、そんなに緊張しなくてもいいから。よかったら気軽に呼んでね」
そう言って天使のような笑顔を私に向けてくる。
うわぁ、男の子なのに顔ちっさ。
いきなり下の名前で呼ぶなんてムリだよ……。せめて心の中だけでも下の名前でをつぶやこう。
それにしても、奏空くんと初めてしゃべっちゃった。
てか私の名前を知ってたことに驚いた。
すごいなあ。もうクラス全員の名前覚えたのかなあ。
授業中、右隣にいる奏空くんが気になってあんまり集中できなかった。
ちなみに左隣は空席だった。そこは天音くんの席だったから。
わたしはこの時まだ気づいてなかったんだ。この異常事態に……!