両隣を真面目×不良な双子にはさまれた私は運命をうらんでます!

最後は笑顔で……


 教室に入ると、そこには天音くんがいた。ホッとして息を整える。


「天音くん、帰ってなかったんだ」


 ごめんね……。


「ずるいな……」


 天音くんはひとこと、そうつぶやいた。


 そう、ずるいよね……私。

 でもいつもイジワルされてばっかりだから、たまには仕返ししてみたかったんだよ。


「わかってるくせに、ほらそれ」


 天音くんが指差した先は私の机。その中から私の水筒が顔を出していた。


「ふふふ」


 忘れていったわけじゃない。わざと置いてった。天音くんなら気づいて待っててくれるって思ったから。


「天音くん。私ね──」

「待った! 俺から言わせて」

「ん、うん」

「この数日間ずっと悠乃のこと考えてた。それ以外のことが手につかないくらい」


 うん……わかるよ。


「他のヤツに渡したくないって思った。だから今度は焦らずに、順番は守るから──」


 天音くんは一瞬、大きく息を吸った。


「悠乃が好きだ。俺と付き合ってほしい!」



 かすんでる。目の前が……私、泣いてる……?


「うん、私でいいの……? ホントに?」

「悠乃が好き、世界中で一番好き。悠乃の全てを知りたい」

「ありがとう……よろしくお願いします」



「悠乃、お願いがあるんだけど……」

「なに? なんでも言って」

「よっしゃ、じゃあ手つないでいいか?」



 私は思わずふきだしてしまう。

 もうキスまでしたのに、今さら手をつないでくれってお願いする天音くんがかわいくて、なんだか抱きしめたくなった。


「な、なんで笑うんだよ」

「ごめんごめん、中学生の恋愛みたいだなって思って、かわいいなって」

「ま、まさか悠乃は付き合ったことあるのか!?」

「ううん、初めてだよ」

「そっか……俺も初めて……よかった」


 どちらからともなく近寄り、私たちは抱きしめあった。

< 32 / 33 >

この作品をシェア

pagetop