両隣を真面目×不良な双子にはさまれた私は運命をうらんでます!
最後は笑顔で……
教室に入ると、そこには天音くんがいた。ホッとして息を整える。
「天音くん、帰ってなかったんだ」
ごめんね……。
「ずるいな……」
天音くんはひとこと、そうつぶやいた。
そう、ずるいよね……私。
でもいつもイジワルされてばっかりだから、たまには仕返ししてみたかったんだよ。
「わかってるくせに、ほらそれ」
天音くんが指差した先は私の机。その中から私の水筒が顔を出していた。
「ふふふ」
忘れていったわけじゃない。わざと置いてった。天音くんなら気づいて待っててくれるって思ったから。
「天音くん。私ね──」
「待った! 俺から言わせて」
「ん、うん」
「この数日間ずっと悠乃のこと考えてた。それ以外のことが手につかないくらい」
うん……わかるよ。
「他のヤツに渡したくないって思った。だから今度は焦らずに、順番は守るから──」
天音くんは一瞬、大きく息を吸った。
「悠乃が好きだ。俺と付き合ってほしい!」
かすんでる。目の前が……私、泣いてる……?
「うん、私でいいの……? ホントに?」
「悠乃が好き、世界中で一番好き。悠乃の全てを知りたい」
「ありがとう……よろしくお願いします」
「悠乃、お願いがあるんだけど……」
「なに? なんでも言って」
「よっしゃ、じゃあ手つないでいいか?」
私は思わずふきだしてしまう。
もうキスまでしたのに、今さら手をつないでくれってお願いする天音くんがかわいくて、なんだか抱きしめたくなった。
「な、なんで笑うんだよ」
「ごめんごめん、中学生の恋愛みたいだなって思って、かわいいなって」
「ま、まさか悠乃は付き合ったことあるのか!?」
「ううん、初めてだよ」
「そっか……俺も初めて……よかった」
どちらからともなく近寄り、私たちは抱きしめあった。