両隣を真面目×不良な双子にはさまれた私は運命をうらんでます!

後日談


「ごめん、待った!?」


 慣れないメイクと靴のせいで、私は待ち合わせ時間を少し過ぎて駅前に着いてしまった。


「悠乃、遅い……」


 仏頂面な天音くんは、一言だけそう言ってすぐに満点の笑顔になる。


「なーんてね。俺のためにかわいくしてたから遅れたんでしょ?」

「べ、別にそんなんじゃ……」

「今日は一段とかわいいな」


 天音くんの視線が私の一点に止まる。


「リップ変えた?」

「え、うん──」

「その色、合ってる」

「ほんと? ありがと……」

「キスしていいか?」

「──っ!! ダ、ダメ! 駅前だよ!?」

「はは、じゃあ、あとで二人きりならいいってことだ」

「それは──! もう!」


 すぐにからかってくるんだから……。


 恥ずかしくてうつむいた瞬間、頭をポンっと撫でられた。


「もう……恥ずかしいよ……」


 気づいたら周囲にいる人たちが私たちのことをジロジロと見ていた。


「天音くん目立っちゃってるから……みんな見てるよ。もう行こ!」

「ちげーって、そんなんじゃ、ほら男も見てるじゃん。悠乃がかわいすぎるからだろ」

「そんなことないって」

「まあいいや。悠乃は俺のもの。このさらさらな髪も、キュートな瞳も、甘い唇も、全部俺のものだから」


 天音くんはそう言って、私の体を抱えるように引き寄せてくる。

 心臓が破裂しそうなくらいドキドキした。


「そうそう、悠乃。行きたいお店あるんだって?」


 急に素に戻って話始める天音くん。


 そういうところもずるい……。


「うん、この前二人で歩いた通りにかわいいカフェがあって──」

「あー、言ってたな。この前行けなかったお店か」

「うん、そこ行きたい」

「わかった。じゃあ行こうぜ」


 私たちは手をギュッと握りあって歩き出した。


 天音くん。君との時間を大切に育てていきたいな。


 この恋は始まったばかりだ。



Fin.
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