両隣を真面目×不良な双子にはさまれた私は運命をうらんでます!

正反対な双子


「成田さんうらやましいよねー」
「ねー」


 休み時間、トイレに入ろうとすると、自分の名前が聞こえた気がして、足を止めた。


「私も奏空(かなた)くんの隣になりたかったなぁ」
「ねー! しかも左は天音くんだよ!?」


 洗面台の前でクラスの目立つ女子たちがおしゃべりをしていた。席替えのことを話してるみたいだ。


「ってことはさ! イケメン二人に囲まれてるんだよ!」
「すっご、超ラッキーじゃん」


 私ってこんなにうらやましがられてるんだ……。

 たしかに両隣の席が諏訪野(すわの)兄弟というのは奇跡のような配置だ。でも、天音くんは一度も学校に来てないからまだ見たことがなかった。奏空くんとそっくりならきっと美形なんだと思うけど。


「天音くん一回も来ないね。やっぱり芸能活動忙しいのかなー」
「ねー。人気急上昇中だし」


 芸能活動!? 天音くんって芸能人だったんだ……。たしかになんか聞いたことあるかも……。


 二人は天音くんのこともしゃべり出したので、私はついついその場で聞き耳を立ててしまった。

 なんと天音くんは現役アイドルをやっていて、仕事があるから学校を休みがちだそうだ。

 外見は奏空くんそっくりのイケメンで長身らしい。しかし、性格が正反対みたい。奏空くんがクールで癒し系なのに対して、天音くんは粗暴で俺様系なんだって。


 そういえば……一か月くらい前。一年の春休み前だ。


 放課後の学校で、とんでもないオーラを発する男子生徒と出くわしたことがあった。目つきが鋭くて怖そうだけど顔はイケメンだった。ものすごく私のことを見てきて不思議だったんだけど。

 その時は、驚きで声も出せずにすぐに走り去ったが、今思えば奏空くんに似ていたからあれが天音くんだったのかもしれない。
< 4 / 33 >

この作品をシェア

pagetop