両隣を真面目×不良な双子にはさまれた私は運命をうらんでます!
太陽のような
授業中、壁の時計を見るふりをして横目でチラッと奏空くんの顔を見る。
すると、彼もこっちを見て目が合ってしまった。
うわ、バレちゃった……!
「どうしたの」
小声で、優しくささやいてくる奏空くん。
私は首をぶんぶんとふって、なんでもないことを奏空くんに伝えた。彼は首をかしげてくすっと笑うと、また黒板に視線を戻した。
鼻筋が通っているから横顔もステキだ。
近いから解像度えぐいよ……。
授業中、ずっと私は上の空。
休み時間になると、すぐに奏空くんのまわりに人が寄ってきた。
「奏空くん、天音くんは? 今日も来ないの?」
一軍女子たちが奏空くんに口々に訊いている。
「天音、きてないね。朝は起きてたんだけどなー」
「うわー、やっぱり同じ家にいるんだ! すごっ」
「そりゃそうだよ。だって家族だもん」
苦笑いした奏空くんがみんなの笑いを誘う。
「──!!」
右隣の盛り上がっている会話を、私は教科書を読むフリをしながら聞いていた。
今度は声の大きい男子が奏空くんに声をかける。
「なぁ、奏空。天音ってサインとか書いてくれんのかな? 妹がファンでさぁ」
「いや、アイツはそういうの嫌がるよ。妹さんには悪いけどやめたほうがいいかな」
「──やっぱダメかぁ!」
がっくりと肩を落とすスポーツマンタイプの男子。
えーと、彼の名前はなんだっけ……わからないや。
新学期から数日しか経ってないのにみんなもう名前覚えて打ち解け合ってるんだなあ……。
奏空くんの周囲には本当に自然に人が集まってくる。彼は太陽のような存在だった。
それに比べて私は友達と呼べるくらい仲の良い子もいない。
休み時間が終わり、みんなが席に戻る。
その時、なんと奏空くんがこちらに顔を寄せてきた。
「成田さん、休み時間うるさくしちゃってごめんね」
「──っん! ぜ、ぜんぜん、だいじょぶだよ」
あっせるぅ……!
急に話しかけてくるもんだから、裏っかえりそうな声で返事をしてしまった。
「休み時間も予習復習してるなんて偉いよね。だから成績もいつも上位なんだね」
え、私の成績知ってるの……? いろいろなことが頭を駆け巡り、こんがらがる。
「やることないから、趣味でやってるだけだから……」
「俺も見習わないとなー」
「諏訪野くんは一番なんだから大丈夫だよ」
成績トップの奏空くんが言うと嫌味になるはずのことでも、ぜんぜんそんな風にならないのは彼の持ってる雰囲気のおかげだろう。
「あはは、だから苗字だとどっちかわかんないって」
「そ、そうだよね。ごめん」
下の名前か、みんなは自然とそうしてるけど私は無理だよ……。
男の子を名前呼びなんて……近所のターくんくらいにしかやったことないもん。ターくんは五歳……。
奏空くんとまた喋っちゃった……。変な顔してなかったかな? まあ地味な私の顔なんて見てないよね。
ふと左の空席を見る。天音くんがもし学校にきたら……。
奏空くんとしゃべるだけでもこんな状態なのに、こんなイケメン二人に囲まれていたら、緊張してペンを持つ手が震えてしまう。いよいよ勉強どころではなくなってしまう気がする。