両隣を真面目×不良な双子にはさまれた私は運命をうらんでます!
むり
午前の授業中、天音くんとたびたび目が合った。
たまに私の方を見てる気がして左を向くとやっぱり……。
いや、待って。これって私が気にしすぎて見てるからなのかな。でも昨日あんなことがあったら、どうしても気になっちゃうよ。
天音くんのキレイな黒い瞳、思わず見とれそうになる。やっぱり目の印象が際立っている。
本当に彼とキスしたんだろうか、私。
右を向くと奏空くんと目が合った。いつものさわやかな笑顔じゃなくて、なんだか問い詰めてくるような視線。
なんでなんで、奏空くんは昨日のことは知らないはずだよね。
天音くんが喋ったとか……? そんなことないよね。いや、兄弟だしあるのかな? わかんないよもう!
右には奏空くん、左には天音くん。こんなの……むり! 耐えらんないよ。
「はあ~」
チャイムが鳴って、深くため息をつく私。
結局授業に全然集中できないまま、昼休みになった。
両隣の席にはまた人が集まってくる。
こんなににぎやかだと落ち着かないので、私は屋上へ行ってお弁当を食べることにした。
というか天音くんのそばにこれ以上いたらおかしくなりそうだったから。
教室を出る時、クラスの一軍女子たちとすれ違った。彼女たちは嬉しそうにコソコソと話している。
「よーし、お昼は天音くん誘ってみよっか!」
「ねー。いいねそれ」
やっぱり、天音くんは注目の的だ。無愛想な態度だけど顔がいいからモテるよね。
私の唇に重なってきた天音くん、澄んだ肌から伝わる体温……ほわりと香る甘い
匂い。
ダメだ。昨日の出来事ばかり思い出してしまう。
私は屋上への階段を急いだ。